潮汐の真のメカニズム > 第三章 日本列島海岸の潮汐特徴

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瀬戸内海沿岸部の潮汐特徴
 瀬戸内海沿岸部の地理環境は複雑であるため、潮汐における時間と水位においてもっとも大きく変化している水域のひとつである。しかし、こんな複雑な地理特徴の中、外的引力の延径効果より引き起こす邱潮現象が忠実に反映され、ある意味で言うと、邱潮現象を検証するのに最も適すデータだといっても過言ではない。
図531 瀬戸内海沿岸部地図
 表531に瀬戸内海沿岸部の冬至点前後の新月(1997年1月9日)の潮汐水位表を示す。各検潮所の位置を図531に示す。
 その結果、満潮の時刻としては、太平洋の入り口(61清水)に比べて、62宇和島では1時間8分55松山では2時間57分56波止浜では4時間7分57高松では5時間8分49姫路では5時間12分遅れており、また、満潮の水位としては、太平洋の入り口(61清水)に比べて、62宇和島では33cm55松山では132cm56波止浜では159cm57高松では56cm高くなっていたことがわかった。
 以上の結果で分析すると、瀬戸内海の潮汐は海水の流動により伝えられると考えられる。太平洋で満潮のときに、大量の海水が瀬戸内海の奥まで流れ込む様式で引き起こされている。よって、各海域における満潮の時刻は海流の速度より決められ、最奥の姫路まで5時間もかかったということである。
 また、各水域の満潮による水位の上昇は瀬戸内海に入った海水の総量および当水域の地理状況、つまり、入り口の広さ、海底の深さや海域の広さに関連すると思われる。大部分の海域に最大干満差の顕著の増加が見られる。これは流入する海水の量が多く、海底の深さが浅いことに関連すると思われる。また、姫路の海域のようでは、入り口が狭く、短時間で流れ込む海水の量が限られているため、十分な海水が入れなく、逆に中に入ると海域が広くなり、満潮による水位の上昇が少なくなる。
 複雑な地理環境により、毎日二回の満潮水位差は太平洋沿岸部に比べ、25±25cmとやや荒くなり、満潮時の最大干満差の10%前後である。一方、干潮の水位としては、内海の奥に入るにつれて、20cm程度上昇した傾向があるものの、各地の水位が満潮時の水位の高さに関係なく、ほぼ共通することがわかった。また、特徴としては、太平洋沿岸と同じく、正午ゾーンの干潮水位が午夜ゾーンの干潮水位より高く、昼夜両干潮水位差は92±8cmであることが明らかとなった。
表531 瀬戸内海沿岸部の冬至点前後の新月の潮汐水位表
1997年1月9日(第1新月)
満潮 干潮
時間 水位 時間 水位 水位差 時間 水位 時間 水位 水位差
61清水 6:32 183 17:49 188 -5 12:08 63 0:32 -26 89
62宇和島 7:40 216 19:03 205 11 13:24 72 0:54 -18 90
55松山 9:29 348 21:06 309 39 15:25 79 2:44 -19 98
56波止浜 10:39 375 22:14 337 38 16:29 87 3:47 -13 100
57高松 11:40 239 22:37 189 50 17:52 84 4:35 -7 91
49姫路 11:46 133 21:26 98 35 17:10 80 3:49 -9 89
50宇野 11:34 243 22:38 196 47 17:43 81 4:34 -12 93
51糸崎 10:56 358 22:33 323 35 17:14 90 4:34 -3 93
52広島 9:58 362 21:47 323 39 16:02 80 3:29 -22 102
53防府 9:07 321 20:40 294 27 15:03 76 2:28 -18 94
63苅田 9:20 382 21:05 343 39 15:26 75 2:49 -13 88
64大分 8:55 221 20:54 204 17 15:21 72 2:43 -22 94
65細島 6:40 177 17:58 180 -3 12:20 56 0:00 -20 76
66油津 6:40 185 17:55 194 -9 12:14 65 0:41 -26 91
図532 瀬戸内海沿岸部の冬至点前後新月の潮汐水位変化
図533 瀬戸内海沿岸部の冬至点前後新月の満潮および干潮水位差の変化

 表512に日本列島の太平洋側沿岸部の夏至点前後の新月(1997年7月5日)の潮汐水位表を示す。
 その結果、満潮の傾向は上記の冬至点前後のデータと類似することがわかった。満潮の時刻としては、太平洋の入り口(61清水)に比べて、62宇和島では1時間11分55松山では3時間19分56波止浜では4時間23分57高松では5時間6分49姫路では3時間48分遅れており、また、満潮の水位としては、太平洋の入り口(61清水)に比べて、62宇和島では21cm55松山では116cm56波止浜では143cm57高松では13cm高くなっていたことがわかった。
 以上の結果で分析すると、夏至点前後の瀬戸内海の潮汐のメカニズムは上述に説明した冬至点前後の傾向と類似することがわかった。また、毎日二回の満潮水位差としては-29±17cmであり、満潮時の最大干満差の10%前後である。一方、干潮の水位としては、内海の奥に入るにつれて、最高34cm上昇したものの、各地の水位が満潮時の水位の比例せずに、ほぼ共通することがわかった。また、特徴としては、太平洋沿岸とほぼ同じく正午ゾーンの干潮水位が午夜ゾーンの干潮水位より低く、昼夜両干潮水位差は-83±11cmであることが明らかとなった。

表532 瀬戸内海沿岸部の夏至点前後の新月の潮汐水位表
1997年7月5日(第7新月)
満潮 干潮
時間 水位 時間 水位 水位差 時間 水位 時間 水位 水位差
61清水 5:45 191 19:05 189 2 12:25 16 0:05 94 -78
62宇和島 6:56 212 20:15 223 -11 13:26 24 1:19 108 -84
55松山 9:04 307 22:04 350 -43 15:22 27 3:26 120 -93
56波止浜 10:08 333 23:13 377 -44 16:21 35 4:27 129 -94
57高松 10:51 204 0:19 253 -49 17:24 33 5:54 110 -77
49姫路 9:33 111 0:21 157 -46 16:20 25 6:21 96 -71
50宇野 10:45 209 0:44 255 -46 17:19 29 5:47 109 -80
51糸崎 10:19 324 23:21 360 -36 17:08 46 5:07 129 -83
52広島 9:43 324 22:33 363 -39 16:06 29 3:59 119 -90
53防府 8:34 292 21:40 326 -34 15:04 30 3:01 121 -91
63苅田 8:55 348 21:51 382 -34 15:26 37 3:15 126 -89
64大分 8:08 207 21:36 231 -24 14:43 30 2:43 111 -81
65細島 5:59 185 19:15 186 -1 12:40 19 0:21 88 -69
66油津 5:50 197 19:12 192 5 12:34 17 0:11 96 -79
図534 瀬戸内海沿岸部の夏至点前後新月の潮汐水位変化
図535 瀬戸内海沿岸部の夏至点前後新月の満潮および干潮水位差の変化

 図506に示すように、夏至点前後におかれる地球の環境では,太陽の延径効果による地面の上昇区域(すなわち太陽邱潮の干潮区域)は,北半球の正午ゾーン海域と南半球の午夜ゾーン海域であり、冬至点前後では,太陽の延径効果による地面の上昇区域は,北半球の午夜ゾーン海域と南半球の正午ゾーン海域であるため、上記の結果に示したように、夏至点前後(7月5日) におき、正午干潮が午夜干潮より83±11cm低いこと、逆に、冬至点前後(1月9日)におき、正午干潮が午夜干潮より92±8cm高いこと。また、潮汐時間や沿海の地理環境と関係なく一定であることは、単なる偶然ではなく、外的引力のみに対応すると他ならないことがわかる。

図506 太陽邱潮説明図

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当論文は2000年11月15日付けで日本国文化庁にて第一公開年月日の登録を行いました。(登録番号 第17591号の1 )
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