潮汐の真のメカニズム > 第三章 日本列島海岸の潮汐特徴
前のページ | サイトマップ | 次のページ
|
有明海沿岸部の潮汐特徴 |
|
九州西部にある有明海沿岸部の地理環境も複雑であるため、潮汐水位の干満差が日本沿海において、最大級となっている。こちらも、外的引力の延径効果より引き起こす邱潮現象が忠実に反映されている。 |
|
図541 有明海沿岸部地図 |
|
|
|
表541に瀬戸内海沿岸部の冬至点前後の新月(1997年1月9日)の潮汐水位表を示す。各検潮所の位置を図541に示す。
その結果、満潮の時刻としては、太平洋の入り口(79福江)に比べて、73水俣では40分、74三角では59分、75三池では1時間16分、最奥端の76大浦では1時間22分と遅れており、また、満潮の水位としては、太平洋の入り口(79福江)に比べて、73水俣では71cm、74三角では126cm、75三池では233cm、76大浦では229cmと高くなっていたことがわかった。
以上の結果で分析すると、有明海の潮汐も瀬戸内海と同じく、海水の流動により伝えられると考えられる。太平洋で満潮のときに、大量の海水が有明海の奥まで流れ込む様式で引き起こされている。よって、各海域における満潮の時刻は海流の速度より決められ、最奥の姫路まで1時間半ほどかかったということである。また、各水域の満潮による水位の上昇は有明海に入った海水の総量および当水域の地理状況、つまり、入り口の広さ、海底の深さや海域の広さに関連すると思われる。有明海の地理状況としては入り口が広く、奥に入るにしたがって、狭くなるというのが特徴である。このような地理環境では、大量の水が内海に流れ、狭いおく海域にたまり、この地域の満潮時に水位の上昇率を高くする原因と考えられる。
このような複雑な地理環境でも、毎日二回の満潮水位差は、7±3cmと、満潮時の最大干満差の5%以下である。一方、干潮の水位としては、内海の奥に入るにつれて、20cm程度上昇した傾向があるものの、各地の水位が満潮時の水位の比例せずに、比較的に類似することがわかった。また、特徴としては、太平洋沿岸と同じく、正午ゾーンの干潮水位が午夜ゾーンの干潮水位より高く、昼夜両干潮水位差は91±4cmであることが明らかとなった。 |
表541 有明海沿岸部の冬至点前後の新月の潮汐水位表 |
|
1997年1月9日(第1新月) |
満潮 |
干潮 |
時間 |
水位 |
時間 |
水位 |
水位差 |
時間 |
水位 |
時間 |
水位 |
水位差 |
73水俣 |
9:13 |
343 |
20:57 |
334 |
9 |
15:14 |
69 |
2:46 |
-22 |
91 |
74三角 |
9:18 |
396 |
21:06 |
389 |
7 |
15:21 |
67 |
2:49 |
-24 |
91 |
75三池 |
9:29 |
501 |
21:23 |
496 |
5 |
15:33 |
82 |
2:57 |
-10 |
92 |
76大浦 |
9:38 |
498 |
21:29 |
492 |
6 |
15:37 |
70 |
3:02 |
-21 |
91 |
77口之津 |
9:20 |
337 |
21:04 |
327 |
10 |
15:06 |
71 |
2:34 |
-22 |
93 |
78長崎 |
8:27 |
283 |
20:00 |
277 |
6 |
14:25 |
63 |
1:53 |
-30 |
93 |
79福江 |
8:33 |
271 |
20:07 |
263 |
8 |
14:31 |
62 |
1:58 |
-26 |
88 |
図542 有明海沿岸部の冬至点前後新月の潮汐水位変化 |
|
図543 有明海沿岸部の冬至点前後新月の満潮および干潮水位差の変化 |
|
表542に有明海沿岸部の夏至点前後の新月(1997年7月5日)の潮汐水位表を示す。
その結果、満潮の時刻としては、太平洋の入り口(79福江)に比べて、73水俣では45分、74三角では51分、75三池では1時間10分、最奥端の76大浦では1時間15分と遅れており、また、満潮の水位としては、太平洋の入り口(79福江)に比べて、73水俣では68cm、74三角では122cm、75三池では229cm、76大浦では224cmと高くなっていたことがわかった。
以上の結果で分析すると、夏至点前後の瀬戸内海の潮汐のメカニズムは上述に説明した冬至点前後の傾向と類似することがわかった。また、毎日二回の満潮水位差としては-13±4cmであり、満潮時の最大干満差の5%以下である。一方、干潮の水位としては、内海の奥に入るにつれて、最高31cm上昇したものの、各地の水位が満潮時の水位の比例せずに、比較的に類似することがわかった。また、特徴としては、太平洋沿岸とほぼ同じく正午ゾーンの干潮水位が午夜ゾーンの干潮水位より低く、昼夜両干潮水位差は-91±4cmであることが明らかとなった。
表542 有明海沿岸部の夏至点前後の新月の潮汐水位表 |
|
1997年7月5日(第7新月) |
満潮 |
干潮 |
時間 |
水位 |
時間 |
水位 |
水位差 |
時間 |
水位 |
時間 |
水位 |
水位差 |
73水俣 |
8:47 |
332 |
21:44 |
344 |
-12 |
15:19 |
24 |
3:03 |
115 |
-91 |
74三角 |
8:53 |
386 |
21:46 |
398 |
-12 |
15:22 |
28 |
3:07 |
120 |
-92 |
75三池 |
9:12 |
488 |
21:59 |
505 |
-17 |
15:32 |
48 |
3:19 |
140 |
-92 |
76大浦 |
9:17 |
484 |
22:05 |
500 |
-16 |
15:36 |
40 |
3:22 |
134 |
-94 |
77口之津 |
8:51 |
331 |
21:47 |
343 |
-12 |
15:06 |
30 |
2:54 |
119 |
-89 |
78長崎 |
7:55 |
279 |
21:03 |
290 |
-11 |
14:30 |
23 |
2:23 |
114 |
-91 |
79福江 |
8:02 |
264 |
21:11 |
276 |
-12 |
14:36 |
22 |
2:30 |
109 |
-87 |
図544 有明海沿岸部の夏至点前後新月の潮汐水位変化 |
|
図545 有明海沿岸部の夏至点前後新月の満潮および干潮水位差の変化 |
|
図506に示すように、夏至点前後におかれる地球の環境では,太陽の延径効果による地面の上昇区域(すなわち太陽邱潮の干潮区域)は,北半球の正午ゾーン海域と南半球の午夜ゾーン海域であり、冬至点前後では,太陽の延径効果による地面の上昇区域は,北半球の午夜ゾーン海域と南半球の正午ゾーン海域であるため、上記の結果に示したように、夏至点前後(7月5日) におき、正午干潮が午夜干潮より91±4cm低いこと、逆に、冬至点前後(1月9日)におき、正午干潮が午夜干潮より91±4cm高いこと。また、潮汐時間や沿海の地理環境と関係なく一定であることは、単なる偶然ではなく、外的引力のみに対応すると他ならないことがわかる。
図506 太陽邱潮説明図 |
|
前のページ | サイトマップ | 次のページ
当サイトに関する最新情報をインターネットHTML方式メールマガジンを通して,配信しています。興味のある方は,今すぐ登録して下さい。 |
|
|
Copyright (C) 2000-2004, Guoning Qiu. All rights reserved.
当論文は2000年11月15日付けで日本国文化庁にて第一公開年月日の登録を行いました。(登録番号 第17591号の1
)
このページに関する問い合わせは guoningqiu@aol.com まで