プリンキピア続編
潮汐の真のメカニズム
(The Real Tidal Mechanism)
 

この論文は2000年11月15日付けで文化庁にて第一公開年月日の登録を行いました。登録番号は 第17591号の1

科学ジャーナリスト
邱 国寧 博士 (Guoning Qiu, Ph.D)
guoningqiu@aol.com
2000年10月25日

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要旨
 太陽と月両天体が地球に何らかの引力を働きかけていることは古くから知られている。海面の潮汐現象もこれら引力に関連すると考えられる。潮汐のメカニズムについて,これまで,外的引力(太陽や月の万有引力)が直接に海水を持ちあげると言ういわゆる「吸水説」が提唱され,通説として受け入れられている。しかし,筆者が日本沿海の膨大な潮汐データを分析して初めて,「吸水説」は根本的に間違っていることが明らかにし、海の潮汐や地震を引き起こす真の原因に突き止め、「潮汐の真のメカニズム」理論をまとめた。
太陽引力及び月引力の年間変化
 図1に示されるように,地球の公転軌道面と地球赤道面の角度が約23°であるため,一年間におき,地球に対して,太陽が北緯23°と南緯23°の間に往来する。また,月の公転軌道と地球赤道と約18°であるため,一ヶ月間におき,月が地球の北緯18°と南緯18°の間に往来している。例えば,太陽引力は夏至点付近では北回帰線の上空にあり,最北となるが,冬至点では南回帰線の上空にあり,最南となる。
図1-1 太陽引力及び月引力の年間変化

 図1-2に示すように、毎月の新月におき,太陽引力と月引力がほぼ同方向にあり,両引力間の影響が最も少なく,地球に対する影響も単一化されている。また、一年間におき、月と太陽が同方向のまま、地球赤道の北方と南方を一往復することになる。当論文は年間毎月にある新月の日の潮汐データをグループして、その年間変化を分析し,太陽,月両引力と潮汐の関連性を調べた。
図1-2 毎新月における太陽、地球、月の位置関係
夏至点付近の新月における太陽,月引力と地球の各力点の位置関係
 図2に夏至点付近の新月における太陽,月引力と地球の各力点の位置関係を示す。夏至点付近の新月の日に,「近力点」は北半球の北緯23°の太陽南中地点(正午地点)だが,この時の「遠力点」は南半球の南緯23°の午夜地点にあたる。
 地球上の地点は同緯度上に自転するため,「近力点」になった地点は12時間を経過した後に同緯度にある「近力背後点」に到着するが,この点は「遠力点」ではないことがわかる。そして,もし日間二回の満潮はこの太陽と月の引力により直接に引き起こされるなら,海面の膨らみは当然ながら、北半球と南半球に分散され,同地点の二回の満潮が受ける引力の大きさが異なる。そのため,日間二回の満潮間の水位にこれを対応する違いが生じ,そして,その違いは太陽方位の変化に従って変動し,一年間周期で繰り返されると考えられる。
図2 夏至点付近の新月における太陽,月引力と地球の各力点の位置関係

新月の二回の満潮及び二回の干潮の水位変化特徴
 当研究は日本周辺海域の各新月の日の潮汐データを分析し,潮の真のメカニズムの解明に試みた。図3にこの中の東京検潮所の新月グループ(年間すべての新月の日で構成される)の満潮及び干潮水位の年間変化結果を示す。その結果,日間の両満潮間の水位に差が殆ど見られないものの,両干潮間の水位では太陽引力および月引力の移動に対応する年間周期の顕著の変化が確認された。
 具体的に,冬至点直後の1回目の新月(1月9日)に,正午干潮の水位が午夜干潮の水位より100cmほど高いが,その差が徐々に減少し,春分点前後に両干潮水位がほぼ等しくなった。そして,その後は逆転し,夏至点前後の6回目新月(6月5日),7回目新月(7月5日)に,午夜干潮の水位と正午干潮の水位の差が最大の89cmになった。その後,両干潮の差が小さくなり,秋分点前後の10回目の新月(10月2日)に再び逆転し,そして,冬至点前後の13回目の新月(12月30日)に,正午干潮の水位と午夜干潮の水位差が再び最大の95cmになった。このような変化が年々繰り返されている。
図3 東京検潮所の新月の満潮及び干潮水位の年間変化

満潮は外的引力に直接に引き起されたものではない
 図4に日本沿海の各特徴的な海域の新月グループの潮汐水位の年間変化パターンを示す。
 日本沿海の各場所では,それに置かれている海底構造や沿岸環境などの条件により,潮汐水位の変化特徴がさまざまであることが分かった。下図にそれぞれの代表的パターンを示す。
 その結果,異なる海域では,日間の潮汐最大干満差規模が150cmから500cmの各異なるが,同一の場所の新月グループの日間両満潮の水位が年間にかけて,ほぼ変化しなかった。
 一方,異なる海域におき,潮汐の規模に問わず,日間両干潮の水位の変化に同じ挙動を示し,上記の東京の水位変化とほぼ一致した。
 つまり,太陽の年間の方角変化特徴に、日間二回の満潮の水位変化がまったく対応せず,逆に,海底構造や沿岸環境など複雑な条件にもかかわらず,日間の潮汐最大干満差規模が150cmから500cmにおいても共通して、干潮の年間変化が太陽の年間の方角変化特徴を忠実に反映していることが明らかとなった。
 これらの結果は、従来の潮汐現象に対する常識に誤りがあることを指摘し、地球上の潮汐現象は外的引力が海水に対して直接の吸引によって引き起こされるものではないことを示唆した。
 本稿は潮汐現象の起きる真のメカニズムとして、以下の外的引力による地球の「延径効果」という仮説を提起する。
図4 日本沿海の各特徴的な海域の新月の日の潮汐水位の年間変化パターン
図4-1 布良 図4-2 那覇
図4-3 枕崎 図4-4 佐世保
図4-5 三角 図4-6 三池

「外的引力の延径効果」仮説
 図5に示すように、「外的引力が何らかの原因で地球の最接近の地面を牽引し、同方向の地球直径が延長される。地球の質量分布が変化したため、地球重心(O)が引力方向(O')へシフトする。よって、地球の外的引力方向に向かう側(a')とその反対側(c')の地面が地球重心に対して上昇したことになる。その結果、地表に覆う水は地面上昇地域(a', c')から他の地域へ流動し、潮の干満現象を生み出す主な原因である」。 太陽引力や月引力など外的引力が地球に延径効果をもたらし,地球の近力点と遠力点の地面が上昇し,干潮現象を起す。
図5 外的引力の「延径効果」の説明図

夏至点及び冬至点における海水の分布
 図6に地球の東京の緯度の夏至点及び冬至点における海水の分布の断面図を示す。
 冬至点前後の新月においては、太陽が地球の南緯約23°の方位にあるため、東京(北緯35°39’、東経139°46’)の深夜時刻では、太陽引力による地球の地面の上昇区域(c)付近にあり、地面の上昇率を表す干潮時の水位の引き具合は一年の中においても,もっとも大きい。しかし、南中時刻においては、太陽引力による地面下降区域付近(a)に当たり、地球全体としての満潮海域付近となる。よって,干潮による水位の低下が少ない。
 一方、夏至点前後においては、太陽が北緯約23°の方位にあるため、東京の南中時刻では、太陽引力による地球の地面の上昇区域(a')付近にあり、地面の上昇率を表す干潮時の水位の引き具合は一年の中においてもっとも大きい。しかし,午夜の時刻では、太陽引力による地面下降区域付近(c')に到着し、地球全体としての満潮海域付近にあたり,干潮の水位の低下も最小となる。
 上記の図2に示されるように,東京の海域におき,冬至点前後の新月では,正午干潮の水位が高いが,午夜干潮の水位が低い。そして,昼夜の両干潮の水位差が一年中に最も大きい(100cm)。また,夏至点前後の新月におき,正午干潮の水位が低く,午夜干潮の水位が高い。そして,昼夜の両干潮で水位に差が最大(-89cm)となることを正しく解釈することができる。
図6 地球の東京の緯度の夏至点及び冬至点における海水の分布の断面図

 太陽や月の外的引力が絶えることなく、地殻を吸引することにより地球を変形させ、その現象として毎日二回の潮汐として現れる。そうすることにより、地殻が屈伸するように折り曲げることが繰り返され、衰弱になった部分が切れて、地震や火山噴火の原因となる。
 万有引力が発見されて以来、数世紀にわたって人々に誤解されてきた。よって、地球上の自然現象がこれらの理論によって充分に説明できなかったため、神秘性が強められ、科学の進歩が著しく阻害された。当「外的引力が地球にもたらす延径効果」の発見は革命的であり、海の潮汐のみならず、地震、火山噴火、地殻変動、地盤遷移など様々な自然現象、しいては、地球、月の形成などの研究に重要たる影響を持たれ、地球および月上の多くの自然現象の解明にとって重要な鍵となり、科学史上に新紀元の到来を意味し、各研究分野の飛躍的発展が期待できる。

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