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実際に調べたところ、日本の太平洋側、或いは太平洋上の海域では、満潮時刻は引力方向より約六時間ずれていることが判明された。例えば、東京では、新月(太陽と月がほぼ同方向にあり、南中地域の真上にある、正午時刻前後に「近力点」となる)の満潮の年間平均時刻は五時台と十七時台であり、そして、新月干潮の年間平均時刻は11時台と23時台である。つまり、実際の潮汐方向と外的引力の位置関係は図1のようではなく、図3のように、海のふくらみ方向と引力の方向とは垂直関係である。
これはおそらく誰にとっても予想外の結果であろう。この現象に関して、「吸水説」論者は水の流れが遅いから、潮汐の時間に遅れが出たと解釈している。
しかし、潮汐は海流によって伝えるものではなく、波動の方式で伝えている。また、地震など突発的なアクションとは異なり、外的引力は絶えることなく地球に影響し続けているので、たとえこのような要素があったとしても、慣性によって時間の遅れもほぼ緩和されるようになると思われる。逆に、潮汐が海流によって伝達している海域、たとえは瀬戸内海注2の場合は、奥部海域まで伝達するのに約六時間かかるため、新月満潮時刻が10時台と22時台となり、満潮方向は引力方向とほぼ同じとなる。
いずれにせよ、このような現象は教科書や百科全書に書いたとおりの、当初の人たち、或いは現在の大半の人たちがイメージしたものと全く異なっていることが事実である。また、不思議な或いはどうしても納得できない現象がある以上、検証されていない何百年も前の人が考案したものに対して固執する必要がなく、原点に戻って、もう一度最新のデーターや現象、そして最新の科学技術に基づき、潮汐の真のメカニズムを解明することが望ましい。 |
図3
海満潮の実際時刻と月の位置関係 |
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