潮汐の真のメカニズム > 第四章 「延径効果理論」の検証および応用

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八丈島の新月、満月、上弦、下弦の潮汐研究

新月グループと満月満月グループの延径効果特徴

 図402に示すように、新月におき、地球に対する太陽引力と月引力の方向がほぼ同方向にあるため、両引力の延径効果は加算されることになる。よって、古典潮満潮は地球のb方向とd方向にあり、古典潮干潮はa方向とc方向にある。また、両引力の総合効果より引き起こした延径効果の邱潮は古典潮干潮のa方向とc方向の間に発生すると推測できる。
 また、図403に示すように、満月におき、地球に対する太陽引力と月引力の方向が反対方向にあるが、両引力の延径効果も加算されることになる。よって、古典潮満潮は新月と同じように地球のb方向とd方向にあり、邱潮は古典潮干潮のa方向とc方向の間に発生すると推測できる。

図402 新月説明図 図403 満月説明図
太陽邱潮および月邱潮の挙動−新月グループ

 一年間におき、12.5回の月齢月がある。この節に一年間にある毎月の新月の日のみを取り出して、新月グループを構成し、太陽邱潮および月邱潮の挙動について研究する。表401, 図404, 図405に八丈島検潮所の1997年新月グループにおける古典潮満潮であるd(朝方満潮)とb(夕方満潮)、古典潮干潮であるa(正午干潮)とc(午夜干潮)の水位の年間変化を示す。 
 新月グループの古典潮満潮の変化としては、地球のa点(正午干潮)の水位が、1月9日(水位が74cm)から下がり、5月7日に最低(水位が11cm)となった。その後は徐々に上がり、11月30日に水位が78cmまで回復した。一方、c点(午夜干潮)におき、1月9日(水位が-19cm)から水位が上昇し、7月5日に最高(水位が108cm)となった。その後は徐々に下がり、12月30日に水位が-12cmまで下がる。また、毎日二回の満潮水位の差が1月9日に最大値(93cm)となり、7月5日に最小値(-84cm)となることが分かった。

表401 新月グループの潮汐水位変化(八丈島)
水位(cm)
古典潮満潮 古典潮干潮
朝方 夕方 水位差 正午 午夜 水位差
第1新月 Jan. 9 138 149 -11 74 -19 93
第2新月 Feb. 8 136 149 -13 53 -15 68
第3新月 Mar. 9 136 147 -11 46 1 45
第4新月 Apr. 7 143 147 -4 22 30 -8
第5新月 May. 7 155 151 4 11 74 -63
第6新月 Jun. 5 163 157 6 17 100 -83
第7新月 Jul. 5 167 161 6 24 108 -84
第8新月 Aug. 3 164 161 3 31 99 -68
第9新月 Sep. 2 159 158 1 38 72 -34
第10新月 Oct. 2 152 156 -4 52 41 11
第11新月 Oct. 31 146 151 -5 65 21 44
第12新月 Nov. 30 142 147 -5 78 1 77
第13新月 Dec. 30 137 147 -10 76 -12 88
図404 新月グループの潮汐水位変化(八丈島)

 図401に示すように、夏至点前後におかれる地球の環境では,太陽の延径効果による地面の上昇区域(すなわち太陽邱潮の干潮区域)は,北半球の正午ゾーン海域と南半球の午夜ゾーン海域であり、冬至点前後では,太陽の延径効果による地面の上昇区域は,北半球の午夜ゾーン海域と南半球の正午ゾーン海域であるため、表401に示したように、夏至点前後(7月5日) におき、正午干潮(水位が24cm)が午夜干潮(水位が108cm)より84cm低く、逆に、冬至点前後(12月30日)におき、正午干潮(水位が76cm)が午夜干潮(水位が-12cm)より88cm高い、図405に八丈島におきる新月グループの日間満潮、 日間干潮水位差の変化を示す。日間干潮水位差の変化は太陽引力と月引力の総合効果により発生した延長効果を表す邱潮現象に対応することがわかる。

図405 新月グループの日間満潮、干潮水位差の変化(八丈島)
図401 太陽邱潮説明図
太陽邱潮および月邱潮の挙動−満月グループ
 表402, 図406, 図407に八丈島1997年一年間12回満月で構成される満月グループにおける古典潮満潮であるd(朝方満潮)とb(夕方満潮)、古典潮干潮であるa(正午干潮)とc(午夜干潮)の水位の年間変化を示す。 
 満月グループの古典潮満潮の変化としては(表402, 図405)、地球のa点(正午干潮)の水位が、1月24日(水位が70cm)から下がり、6月21日に最低(水位が11cm)となった。その後は徐々に上がり、12月14日に水位が85cmまで回復した。一方、c点(午夜干潮)におき、1月24日(水位が1cm)から水位が上昇し、6月21日に最高(水位が108cm)となった。その後は徐々に下がり、12月14日に水位が-5cmまで下がる。また、毎日二回の満潮水位の差が12月24日に最大値(90cm)となり、6月21日に最小値(-90cm)となることが分かった。
表402 満月グループの潮汐水位変化(八丈島)
水位(cm)
古典潮満潮 古典潮干潮
朝方 夕方 水位差 正午 午夜 水位差
第1満月 Jan. 24 128 139 -11 70 1 69
第2満月 Feb. 22 124 134 -10 54 5 49
第3満月 Mar. 24 130 134 -4 34 24 10
第4満月 Apr. 23 141 140 1 18 55 -37
第5満月 May. 22 158 150 8 17 82 -65
第6満月 Jun. 21 165 162 3 11 101 -90
第7満月 Jul. 20 170 167 3 12 99 -87
第8満月 Aug. 18 169 166 3 14 82 -68
第9満月 Sep. 17 168 166 2 29 45 -16
第10満月 Oct. 16 161 163 -2 49 20 29
第11満月 Nov. 14 152 156 -4 69 4 65
第12満月 Dec. 14 144 152 -8 85 -5 90
図406 満月グループの潮汐水位変化(八丈島)

 図401に示すように、夏至点前後におかれる地球の環境では,太陽の延径効果による地面の上昇区域(すなわち太陽邱潮の干潮区域)は,北半球の正午ゾーン海域と南半球の午夜ゾーン海域であり、冬至点前後では,太陽の延径効果による地面の上昇区域は,北半球の午夜ゾーン海域と南半球の正午ゾーン海域であるため、表402に示したように、夏至点前後(6月21日) におき、正午干潮(水位が11cm)が午夜干潮(水位が101cm)より90cm低く、逆に、冬至点前後 (12月24日)におき、正午干潮(水位が85cm)が午夜干潮(水位が-5cm)より90cm高い、図407に八丈島におきる新満月グループの日間満潮、日間干潮水位差の変化を示す。日間干潮水位差は太陽引力と月引力の総合効果により発生した延長効果を表す邱潮現象二対応することがわかる。
 よって,満月グループの昼夜両干潮の変化特徴は、新月グループの特徴と類似して、太陽引力および月引力により引き起こす地球の延径効果の推論と一致し、その研究に応用できると思われる。

図407 満月グループの年間満潮、干潮水位差の変化(八丈島)
図401 太陽邱潮説明図

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当論文は2000年11月15日付けで日本国文化庁にて第一公開年月日の登録を行いました。(登録番号 第17591号の1 )
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