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月面の最大な特徴はやはり無数に散在するクレーターである。月のクレーターは直径1ミリメートル以下のものから1300キロメートルを超えるものまで数え切れないほど存在している。そして、月面に直径1キロメートル以上のクレーターがなんと30万個以上もある。
クレーターの形成について今のところは隕石の落下によって作られたとされている。しかし、これも明らかの誤解だと思われる。なぜなら、現実上にはあれほどの隕石が月面に落下する可能性と確率はほぼゼロに近い。
そもそもクレーターが隕石の衝突によって形成されるいわゆる「隕石衝突説」がどのように確立したか。
- クレーターは1609年にガリレオ・ガリレイによって初めて確認された。
- 17世紀から19世紀の間はクレーターが火山と同じメカニズムで形成されたいわゆる「火山説」が主流だった。
- 19世紀後半に、クレーターは隕石のような堅いものがぶつかってできたという「隕石衝突説」を唱えている人が現れた。しかし、この説はなかなか当時の人に受け入れられなかった。
- この影響を受けたアメリカの地質学者グローブ・ギルバート(Grove Gilbert, 米,
1843-1918)が実験を繰り返した。彼はボールを粘土に投げたり、ピストルで砂や粘土に向かっていろいろな角度から発砲したりしても同じような形の窪ができることに気づいた。しかも、これら窪の形はクレーターによく似ている。そして、これを根拠に、かれは1893年に「隕石衝突説」を正式に提唱した。しかし、「隕石衝突説」がやはり人々に支持されなかった。
- 20世紀初頭に、「火山説」と「衝突説」を支持する人が入れ混じりながら、勝負は五分五分と分かれるようになった。
- 1949年に作家であるラルフ・ボールドウィン(Ralph Baldwin)が第二次世界大戦で爆弾の砲撃によりできるクレーターと月にあるクレーターの形がよく似ていると指摘し、そして、地質学者達も相次ぎ「衝突説」に同調し始めた。やがて、いつの間に「隕石衝突説」が判定勝ちとなり、今に至った。
このように並べてみとる、「隕石衝突説」の確立にいかに根拠が不十分だと言うことをうかがい知ることができる。しかし、いまでは教科書、専門書、百科全書には「隕石衝突説」があたかも真理のように扱っている。 |