プリンキピア続編 > 月面クレーター形成の真のメカニズム > 序章 問題点の導入

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天体の運動は遠心運動ではない

多くの教科書や百科全書に天体運動を「遠心運動」として取り扱っており、そして、大半の人々も天体運動を「遠心運動」であると思いこんでいることは現状である。これは明らかに誤解したものである。これを理解するのにまず「遠心力」と「引力」の違いを理解しなければならない。

静止した物体を回転させると、物体は円運動しながら、中心から遠ざかっていく。この時に物体に働く力は遠心力である。逆に、直線運動している物体に引力を働かせると、物体は運動方向が刻々と修正され、結果として、物体の運動は円運動になった。この場合において、物体に働く力は引力である。これのことを別に強調して説明する必要もない。ただし、両方とも円運動しているため、しばしば同じように捕らえることは事実である。つまり、円運動=遠心運動と誤解されがちである。

例えば、濡れたタオルを振り回すと、水はタオルから抜けていく。この時に水に働かされた力は遠心力である。これは我々の家庭にある洗濯機の脱水装置の原理となり、日常生活でも活用されている。

今度は、テーブルの上に直線運動で転がっている鉄の金属玉に、その運動方向と垂直方向から磁石を近づいてみると、金属玉は運動方向が修正され、結果として、円運動になった。このときに鉄玉に働かせたのは引力である。そして、この鉄玉が円運動していても遠心力は発生しない。

それでは、地球が月に働かしている力は引力なのか、遠心力なのかについて説明する。まず、月の運動は地球の何かの力によって発生させたり、維持されたり、或いは加速されたりしたわけではないことは明らかであり、言うまでもなく、地球が月に対して働かせている力は引力しかない。

人工衛星がなぜ落ちないかという原理を理解すれば、この問題はもっと分かりやすくなる。例えば、図に示すように、高い鉄塔の上に地面と平行した真横の方向に向かってボールを投げると、ボールは地面と垂直する自由落下運動と、地面と平行する等速運動で合成した放物線運動の軌跡を描きながら地面に落下する。

ボールの投げる速度が早くなるに連れて、ボールは地面に落下する間に飛行距離が長くなり、より遠くまで飛ぶようになり、地球の裏側まで達する。投出速度が第一宇宙速度の7.8km/sになると、ボールの落ち方の丸みが地球の丸みと一致することになり、ボールは投げ出した速度のままで地球の周りを一周して元の位置に戻ってきて(地球の自転を無視した場合)、回り続ける。人工衛星はこの原理を利用して飛行し続けている。

この場合においては、慣性による等速直線運動をしているボールが、重力によりその進行方向が曲げられ、円運動になったことは明らかである。つまり、ボールには遠心力は発生しない。引力があるから円運動になり、引力が消失するとそのまま直線運動を続けているのみである。

当然、月の回転運動も全く同じ原理である。言い換えれば、地球引力の制約により、直線運動をしている月は刻々とその運動方向が修正された。結果として、月は地球の周りで回転することになった。つまり、月の回転運動には遠心力がかかっていないは明白である。

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当論文は2000年11月15日付けで日本国文化庁にて第一公開年月日の登録を行いました。(登録番号 第17591号の1 )
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