日本海側の潮汐状況が太平洋と完全に異なっている。まず、干潮時刻と満潮時刻がほぼ完全に反転すること。次に、満潮と干潮の最大水位差が20cm程度であり、太平洋側の10%前後に止まっている。
　前に述べられたように、日本海の潮汐は対馬海峡，関門海峡および津軽海峡を通して太平洋と接しており、太平洋側に満潮のときに、対馬海峡において、太平洋と日本海の間に130cmの水位差があり、対馬海峡を通して，海水を日本海に流入し，逆に，太平洋が干潮の時に，太平洋の水位が日本海より130cm低くなり，日本海の海水が対馬海峡を通して，太平洋へ流出すること。また、津軽海峡において、太平洋と日本海の間に45cmの水位差があり、津軽海峡を通して，海水を日本海に流入し，逆に，太平洋が干潮の時に，太平洋の水位が日本海より45cm低くなり，日本海の海水が対馬海峡を通して，太平洋へ流出することがわかった。そして，日本海の潮汐は海水が太平洋から流入することおよび太平洋へ流出することによって，日本海の海水総量が変化することによって起きることが明らかとなった。
　日本海の奥が広いのに対して、入り口が狭い。太平洋に出入れする海水の量が限られているため、日本海の海水総量の変化が少なく、これは日本海の海域の潮汐規模が小さい原因と思われる。また、太平洋側に満潮のときに日本海に海水を流入し、日本海の水位が上昇し始めるので、日本海の満潮に到達する時刻が太平洋と時間差が生ずる原因である。
　対馬海峡，関門海峡および津軽海峡によって日本海に流入する海水の時刻と規模が異なるため、日本海の潮汐に複雑性が持たされ、外的引力の特徴が影響され、邱潮現象や延径効果の研究に適さないと思われる。