2009年10月11日 乗鞍岳 剣ヶ峰(Mt.NORIKURADAKE KENGAMINE PEAK 3,026m)


行動記録(登山)

登山コース
(鳥居尾根コース)
7:40 乗鞍高原温泉スキー場 すずらん橋駐車場  -> 8:53 摩利支天バス停 -> 9:22 冷泉小屋 ->9:36 位ヶ原山荘
-> 10:25 肩の小屋バス停(大雪渓前) -> 10:44 肩の小屋 -> 11:21 乗鞍岳 剣ヶ峰山頂着

下山コース
(畳平 乗鞍エコーラインバス経由)
11:26 乗鞍岳 剣ヶ峰山頂発 -> 11:52 肩の小屋(昼食) ->12:40 畳平バスターミナル(13:10 乗鞍エコーラインバス乗車) -> 14:03 乗鞍高原温泉スキー場 すずらん橋バス停下車

行動時間(休憩を含む)
6時間23分

総往復移動距離
30.6km(徒歩移動距離13km)

日帰温泉
波田町 竜島温泉 「せせらぎの湯」 大人1人 500円

マップトレース


コメント

1年前のお盆休み。乗鞍大雪渓で出会った年配の山スキーヤーの話に戻る。

「この乗鞍には2つの山スキーコースがある。
 1つは三本滝に通じるルート(乗鞍高原温泉スキー場 かもしかゲレンデに通じるツアーコースの事)
 もう1つは位ヶ原山荘を通じて鳥居尾根に抜けるルートがある。」

ツアーコースは4月から5月の間、毎度の様に登りつめたコースだ。山スキー用のコースとして森林を切り開いて作られたと聞いた。
しかし、鳥居尾根コースは殆ど聞かれない。
あれから思い出すたびにネットで調べてみた。
数えるほどしか見つけられなかったが、確かに存在した。
しかも情報が古く、戦後間もなくの話まで見つかった。
冷泉小屋(現在休業中)が山スキーヤーで賑わっていた頃の話が目立った。
それは乗鞍岳標準登山コースの事だった。
ただし、正確には鳥居尾根自体を滑るのではなく、摩利支天バス停から尾根に通じる登山道には向わず、エコーラインに沿ってかもしかゲレンデに向う様だ。
(たしかにゲレンデの方が滑りやすい)
まぁどういう所か見てみない事には分からない。
位ヶ原山荘の公式ページに鳥居尾根コースが紹介されていたので、今回はそのルートを辿る事にした。

朝5時30分に自宅を出発
7時10分。乗鞍観光センター前の駐車場はすでに満車になりつつあった・・・。
一旦、ここでトイレ休憩。
7時30分に乗鞍高原温泉スキー場 すずらん橋駐車場に到着する。
すでに4台駐車していた。
この駐車場には「すずらん橋バス停」があるので、観光センター前駐車場が満車の時はこのすずらん橋駐車場に停める事になる。


こちらが準備していると2名のカップルがちょうど出発した所だった。
剣が峰登山と言うと、バスで肩の小屋口まで向かい、そこから登るの一般的に思える。
しかし、片道4、5時間もかかるクラッシックコースを登る人も結構居るので感心してしまう。

さぁ。GPSロガーにスイッチを入れて登山開始だ。^^
スキー場に入り、鳥居尾根コースに向う。
そのすぐ50m程前に姿からして登山とは無縁そうな女性が歩いていた。大学生かな?
しばらく進むとこちらに向って戻ってきた。

女性「あの〜ここが登山口と聞いたのですが、山頂までどの位かかりますか?」

うぅ〜ん・・・どう見ても登山する格好じゃないが、ピクニックで登れる山じゃないんだけどなぁ・・・
機嫌を損ねる訳にはいかないので正直に質問に答えた。
どこから来たのかは聞かなかったが、友人と二人で乗鞍高原を訪れたらしく、昨夜は近くの旅館に一泊したそうな。
色んな事を聞かれたなぁ^^;
登山コース距離や標高差、観光名所。さらには上高地までの移動手段。
何も下調べ無しで来たようだ。(^^;
一番面白かったのは、畳平のお花畑の話かな。

女性「畳平にすごくお花が綺麗な所があると聞いたんですけど・・・」
私「お花畑の事ですか?確かにあります。だけどもうこの時期だから枯れちゃってますね・・・」

紅葉見るにしても。先日の台風で殆ど落ちてしまったから、山頂から景色を眺める位しかないだろうと思い、肩の小屋バス停から登るルートを教えた。
バスに乗らなければならないが、確実にいける方法だからだ。
ただ余りにもピクニック気分で来ていたので簡単に釘をさしておいた。

「確かに乗鞍は登り易い山です。しかし北アルプスには変わりありません。気が抜けませんよ。」

理解してくれたのかどうか分からないが、バスで向う事を承知してくれたようだ。
最後に「山頂でまた会いましょう」と言ってくれたのは嬉しかったな。(^^;
結局彼女に会ったのはそれっきりだった。無事登れたかな?

まぁしかし、気が向くままの旅も良いけど・・・下調べはしましょうよ。
インターネットで幾らでも情報が手に入るんだから。
せっかく来たのに見所が見れないのはもったいない。

彼女と別れて、再び鳥居尾根を目指し、登りつめる。

この鳥居尾根コースの手前左側に摩利支天バス停へ行くルートがあるが、そこへは直接向わず尾根を登りつめる。


第6クワッドリフト降り場の先に入り口がある。
入り口は草が刈られていた。
その先へ進み、貯水池を右に曲がると鳥居尾根を進む事になるが・・・

薮漕ぎとなる。(笑
それでも赤い紐と赤ペンキで山荘の方向が示されていたので忠実に追う。
しかし、20mほど進むとルートが登山道に向って下り坂になっていた(赤い紐が付けられていた)。薮漕ぎしても無理に進もうかと思ったが・・・不安なので諦めた。
地図で確認してみたが、特に目立つ崖もなく行けそうだったが笹が邪魔して簡単に進めそうに無い。
雪が積もっていれば笹は埋もれてしまうので、その先へ進む事が出来るだろうが・・・その時にならないと状況は分からない。
ここで無駄に体力を使うわけには行かないのでガイド通りに下る。

程なくして、正規の登山ルートに降りる。50m位下っただろうか?
ここには大きな平べったい岩が立っていた。
あとは登山道を忠実に登りつめていく。

途中に三本滝との分岐点があるが、三本滝へは登山道崩落のため通行止めになっていた。
位ヶ原山荘へは右に進路を取る。

すばらしく良い登山道に感動する。

北アルプスにもこういう道があるんですねぇ・・・。神社の境内みたいな感じで歩きやすかった。
道も良く踏まれており、景色を楽しみながら登ることが出来た。

「ぶ〜〜ん・・・」とバスの走行音が聞こえてきた。
どうやら乗鞍岳線(エコーライン)が近づいてきた様だ。
程なくして、摩利支天バス停近くの道路に出る。


道路を少し登ると摩利支天バス停が現れる。

ここで地図(2009年度版 山と高原地図38 乗鞍高原)を広げ、登山道を確認する。
ここから先はS字道路を直登ショートカットで登るルートとなる。
道路と登山道の入り口と出口には赤ペンキのマーキングと小さな案内標識があるのでそれを頼りに冷泉小屋を目指す。
(道路沿いに歩くのもありです。)

摩利支天からの登山道は前日の降雪で路肩には雪が残っていた。

もう冬なんですねぇ・・・。

30分程登ると冷泉小屋が見えてくる。

この辺りからカメラを抱えた観光客を多く見かける。
紅葉は麓に降りつつあったが、この冷泉小屋付近でもムシカリの葉がかろうじて残っている程度だった。

ここから斜面は急となる。

登山道とうよりも、ちょっとした小川みたいな感じ。

10分後。
位ヶ原山荘に到着する。

いや〜お久しぶり。^^
6月27日以来だ。
ここまで来ると、降雪により薄く白く輝く乗鞍岳が見える。
山荘でウィダーインゼリーを買い求め、先を急ぐ。

位ヶ原からの登山道はこのまま道なりに進み左に大きく曲がったカーブの右側にある。

まるで枯れた小川のように見えるが、これが登山道^^
近くに案内図は無し。
春スキーで位ヶ原山荘に登ってきたスキーヤーはこの登山道から位ヶ原に出るのが一般的。
今までは雪の上を滑ってきたので知る由もなかったが、岩に赤ペンキで進行方向が塗布されていた。
この通り進めば、この先の宝徳霊神バス停に出られるが、ここから先は本格的なガレ場になり途中で進行方向を見失いそうになる。
基本的にはそのまま上に上れば良いのだが、分かり難い地形に立ち止まる事もあった。

バス停手前100m位の地点で、40代位のご夫妻に畳平までの道を尋ねられた。
普段なら山頂までの登行時間を聞かれるが、バス終点の畳平まで徒歩で歩くのはそうはいない。
珍しい事聞くんだなぁ・・・と思ったが。素直に所要時間とこの登山道のルートを説明した。
乗鞍岳山頂には行かないとの事なので、道路沿いなら1時間少しで行かれますと伝えた。
婦人は「まだそんなにあるの?仕方がない・・・ゆっくり行きましょう。」と仰っていた。
地図を見れば分かる話だけど、どうやら地図も持っていないらしい。
登山客らしくない発言に少し不思議に思ったが・・・実はこの日の乗鞍エコーラインバスは朝から路面凍結のため位ヶ原山荘までしか運行しなかったそうな。
自分は鳥居尾根から登ってきたから知るはずもなかった。

ご夫妻に別れを告げ、先を進む。

登山道と言うより、水が枯れた沢を直登している。(^^;
昨夜の降雪が所々にあり、水溜りに凍結していた。
ストックで叩くと「ぱりぃ〜ん」と気持ちよく割れた。

そして宝徳霊神バス停。


いよいよ、大雪渓が視野に飛び込んでくる。
大雪渓 肩の小屋口バス停まであと少し。


そして肩の小屋バス停(大雪渓入り口)に到着。

3ヶ月ぶりの大雪渓。あの時に比べれば小さくなった。
雪渓の斜面には5、6個のコブがあった。
いつもならモーグラーが遊んでいる姿が見えるが、この日はバスが位ヶ原山荘までしか運行されなかったのでまだお越しになっていなかった。
自分なら位ヶ原山荘から板背負って登ってきたなぁ・・・。
この点がゲレンデスキーヤーとマウンテンスキーヤーの違いだろう。
さて置き、ここまで来れば山頂も目前に迫ってくる。
肩の小屋を目指す。

肩の小屋から朝日岳、蚕玉岳を見上げると光り輝いている。

山頂付近は凍結しているようだ。
10分程度休憩してから剣が峰ピークを目指す。

蚕玉岳はテカテカである。

そしてハイマツには樹氷が出来ている。


肩の小屋から20分程で朝日と蚕玉のコルに到着。
権現池はうっすら氷が張っていた。登山道脇のロープ支柱には海老の尻尾が出来つつあった。


蚕玉岳山頂を通過すると、いよいよ剣が峰に至る。


蚕玉岳と剣が峰の中間コル。
ここから何度も滑り降りたなぁ。^^


そしてピークへ到着。
撮影失敗。逆光だ^^;



山頂からの眺め


穂高 槍ヶ岳方面
(正面に槍ヶ岳が見える)

雲の間に浮かぶ木曽御嶽山

乗鞍高原、松本平、美ヶ原方面

畳平、コロナ観測所

山頂付近の気温は10度は無かっただろう。
息が白く、いよいよウィンターシーズンに入るんだなぁという印象を受けた。
8月の滑り収めの時点で早く冬が来ないかなぁと思っていたが、ここに来て何故か急に寂しくなった。
雪が積もれば、ここは今とはまったく違う世界になるからだ。
この景色が見られるのは年に1回だけ。また同じ光景を見たければ、次は1年後になる。

山頂に登りつめて10分後には山頂付近はすでに満員状態に。
混雑を避け、肩の小屋にて昼食をとるため下山する。
肩の小屋は10月12日で営業を終了する。
サマースキーで訪れた際はいつもお昼をそこで頂いてた。
今日は卵蕎麦(700円)を注文した。

駅前の立ち食い蕎麦みたいだが、いつも腹を空かせて来るのでダシまで全て飲み干してしまう。
(もの凄く美味しく感じるのだ)
私が蕎麦のだし汁まで全て飲み干してしまうのは、肩の小屋の蕎麦だけだなぁ。(^^;

昼食を済ませ、一路畳平を目指す。
摩利支天岳を迂回するルートに入り、10分もすると畳平バスターミナルが見えてくる。


岐阜県と長野県の県境ゲートに到着。


この県境から位ヶ原山荘に滑り込むルートがある。

おお。美味そうな斜面・・・。
今度滑りに来よう。^^

ゲートから10分ほどで畳平に到着。

バス乗り場付近は数センチの積雪で路面凍結していた。
乗鞍は何度も来ているが、畳平へは初めて来た。
この近くに鶴ヶ池雪渓と呼ばれる雪渓が6月下旬頃まで存在するが・・・あそこはモーグラーばかり揃うのであんまり行こうという気にはならないんだよね。(−−;
まぁ機会があればという事で。

さて、徒歩で下山するのは面倒なのでここでエコーラインバスの片道チケットを購入する。
行き先は畳平からすすらん橋までだが、なんと1400円もした。
往復チケットだと上り1400円で帰り1000円だが、片道だけだと上り下り関係なしに1400円だそうな。
13時20分のバスに乗り込み、
14時03分、すずらん橋に到着した。

お疲れ様でした〜^^

次来る時は来年のお正月休み。
いよいよバックカントリーシーズンを迎える。