2009年6月7日 針ノ木岳 マヤクボカール(Mt.HARINOKI 2820.6m MAYAKUBO cirque) 


行動記録(山スキー)

登山コース
7:00 立山黒部アルペンルート 扇沢駅駐車場着 -> 7:10 同駅駐車場発(針の木自然歩道経由)
8:00 大沢小屋付近 -> 8:10 針ノ木大雪渓 -> 10:40 マヤクボノコル着

下山コース
11:05 マヤクボノコルよりスキー滑走 -> 11:40 大沢小屋付近にて、登山道で徒歩下山開始
12:30 立山黒部アルペンルート扇沢駅駐車場着

行動時間(休憩を含む)
5時間30分

山スキー装備
ZEROPOINT スキーザック(青色30L)
SALOMON DEMO XR('07-08)
HEADゲレ用アルペンブーツ

日帰温泉
大町温泉郷 「薬師の湯」(大人1名 600円)

マップトレース
長野県山岳ガイドより こちらを参照して下さい。
(関西電力の作業路を登ります。黄色の点線で示されています)

コメント
白馬大雪渓から1週間後。再び針ノ木大雪渓を目指す。
目標はマヤクボカール。2週間前の針ノ木小屋の反対側のカールになる。
難易度は小屋側よりもマヤクボの方が斜面が急であり、当然高くなる。

朝、6時30分。扇沢駅駐車場に到着。
すでに有料と無料駐車場は満車に近く、この時間でも一番最下位の駐車場にしか停められなかった。
それもそのはず、今日は夏山開山祭「慎太郎祭」が執り行われる。
針の木峠登山道には次々の登山者が入山して行った。
滑走の際は障害物だけでなく大勢の登山者にも注意しなければならない。
途中のコンビニで買ったオニギリ弁当で朝食を済ませ、すぐに準備に取り掛かる。

午前7時登山開始。
扇沢ゲート脇の針ノ木岳登山道に入る。
ルートは先々週と同じ、関西電力の作業道路を通る。前回、土砂崩れによって塞がれた作業道路は綺麗に片付けられていた。
雪も大分溶け出し、作業道路の所々には大きな水溜りが出来ていた。
山スキーシーズンもいよいよ終盤を迎えた事を実感する。
1時間後、大沢小屋付近に到着。大雪渓に入る。
先週まで大沢小屋まで滑り降りる事が出来たがすでにここから雪渓崩壊が始まっていた。
ここで、大沢小屋から30から40名位の団体が降りてきた。
慎太郎祭の会場となる祭壇に向う所だった。
団体さんと途中までご一緒する事に・・・。(^^;
年配の方々から色々と聞かされ教えられる。さすが山好きとあって菅平高原の根子岳、四阿山の事はよくご存知だった。(^^)

大勢の登山客に囲まれる形でカールを目指す。
カールと峠の出合い口はツボ足によるトレースがしっかり残っていた。
ありがたく利用させて頂きました。m( _ _ )m
結構な急斜面だった。40°はあるだろうか・・・
ツボ足トレースが無ければ全てをアイゼン装備でキックステップで登らなければならない程だった。
雪質はこの時期としては良いザラメ。しっかりエッジングできると見た。
また大きな亀裂もなく安定していた。
ただし、針ノ木岳山頂からカールまでは途中で融雪していた。
山頂直下は何れの機会にする。^^;
今日はスバリ岳と針ノ木岳の中間コルから滑り降りる事にした。
(このルートが一般的だそうです)
10時40分。無事コルに到着。
そして眼下には黒部ダムが広がった。

ダムなんか見慣れているのに、この黒部ダムは他とは違った。
標高1470m日本一標高の高いところにあり、その貯水量も日本で4番目となる。
標高2700mのコルから眺めてもこれだけ規模は圧巻である。
その標高差を実感できる山として、白馬鑓ヶ岳がある。山頂から眺める黒部ダムと平行して、大町の町並みが見えるが、明らかにダムの方が高い位置にある事が良く分かる。
ダムを見ながらウィダーインゼリーを食し、休憩していると他の登山客2名がマヤクボから登って来た。
黒部ダムを見るなり一言「おおぉぉ・・・黒部だぁ・・・」
やはり誰が見ても感動するらしい。(^^;

ダムの先には立山(東一ノ越、タンボ平と龍王岳、浄土山)が見える。

タンボ平だ・・・装備がそろったら是非滑り降りたいステージだ。

コル右手にはスバリ岳


肝心の針ノ木岳は何故か撮り忘れた。(うぉぃ
(雰囲気はスバリ岳と同じで山頂はすでに融雪済)
劔岳も真近にみれるがガスが立ち込めて見えなかった。

さて、20分ぐらい休憩した所で雲が湧き上がってきた。
山麓からドンドン湧き上がってくる。ホワイトアウトにならない内に出発する事にした。
スタート地点から見下ろす斜面はこんな感じ。

20mくらい先で一気に沢に落ちて行きます。傾斜計で図ったわけではないが40°は越えているだろう。
問題はこの直ぐ先に他の登山客が登って来ている事を忘れてはいけない。
斜度がきついゆえ、死角に入っているため姿が見えない。どの様なコースを取るか・・・高度を落とすごとに、都度探らなければならないと感じた。

もし、この記事を読んでくれた新人フリーライダーが居たら伝えたい。
山岳スキー、ボードは自己の滑走技術が主体では無い。
地形、天候、時間、自己体力を把握し、一般登山者への配慮まで含めた上での滑走技術が基本。

もの凄く神経を使い、その判断は非常に難しい。
たった1本30分の滑走でもゲレンデ100本分ぐらいに相当するのではないだろうかと思う位の運動神経と思考を使う。

コルで他の登山客に別れを告げ、いよいよ大沢小屋へ舞い降りる。
最初のショート3ターン目。ここで一気に加速した所で正面にスキー登山客5名が目に飛び込んでくる。
こちらを見ている。気が付いたようだ。
確認した時点でターンを左側のスバリ岳に向ける。ツボ足トレースを避けるためだ。
登りを慣性力で滑れるだけ滑って少しだけ高度を稼ぐ。
再び右ターン、急斜面の上で一度停止。1名のスキー登山客が登りつめていた。
その先の出合い口までは他の登山客は見えない。雪渓の視界を確保する為には出合い口手前で小屋側に降りないと全容が見えないと判断。
出合い口より150m程山側にポイントを定め、そこまで一気に滑り降りる。実に爽快だ^^
途中にあったツボ足トレースはガタガタになっていたため、そこはジャンプしてやり過ごす。
ポイントにて一時停止。雪渓下部を確認すると30名ほどの登山客が登って来たのを確認した。
小屋側から滑り降りるスキーヤーも居ない事を確認し、雪渓右側を中心に滑り降りる。
出合い口からはツボ足だらけでガタガタになっていた。
これを自然コブと言うべきなのか(^^;
大沢小屋に近づくにつれて、小石や小枝などのゴミが多くなる。
上部とはすごい違いだなぁ。(^^;
でも白馬大雪渓よりマシかな。
ゴミ回避を堪能しつつ、大沢小屋入り口に到着。
いや〜なかなか面白かったが、太ももがパンパンに脹れていた。(^^)

スキーを外してザックに括り付けようと準備していると、他の登山客達が色々と話しかけてきた。

「あの〜・・・ずっと見ていたんですけど、こんな汚れた斜面をあんな綺麗なSの字描いて滑って来る人、私は初めて見ました・・・」
「すごく気持ちが良かったでしょ?(^^)」
などなど・・・。

別に見てくれとお願いした訳じゃないけど、楽しんでもらえた様だ。(^^;
残雪期の登山では、私達のようなスキーヤーが居る事を知って頂けたら幸いです。

さて、下山ルートだが私はここで1つ失敗してしまった。
先々週、訪れた際に夏道は土砂崩れで橋が崩れて通れないを聞いていたが、今朝の段階で大沢小屋から降りてくる大勢の団体を見て通れるんじゃないかと思った。
帰りは作業道路を使わず、正規の登山道で戻ろうと思った。
大沢小屋を過ぎて間もなく水場に到着するがその先は大小の岩が崩れた跡だった。
今まではずっと登山道にそって踏み跡を追ってきたが、ここに来てそれが無くなる。
さてどうしようかと思い、道の先を見たが草木が多い茂りよく分からない。
ただ不思議だったのはこの付近から人の声が聞こえた事だった。てっきり下山中の登山客だと思っていたが・・・声は聞こえたが何を喋っているのか分からなかった。
聞き間違えたんじゃない?と思われるがそんなことはない。楽しそうな会話に聞こえた。だけど何を喋っているのか分からない。
(今思えば、物の怪の声だったんだろうなと・・・)
戻ろうかどうか悩んだが、岩場を下ることにして沢に出ることにした。
岩場を過ぎると薮漕ぎとなった。明らかに登山道を外れている。
失敗したと感じつつも篭川へ降りる。幸いにこの時期はまだ水量が少なく、鳴沢砂防ダムの手前だったので浅瀬を選んで川を横断し、作業道路に戻ることが出来た。
30分ほど時間をロスしてしまった。
大沢小屋できちんと情報を集めて置くべきだった。
深く反省した。少し調子良すぎたようだ。十分に注意しなければならない。

作業道路を下るとまだ慎太郎祭の真っ最中だったようで、作業テントでは登山客に振舞われる焼オニギリを作っていた。
さすがに腹が減って来たので下山を急ぐ。
しかも車は一番最下の駐車場。(^^;
なんとかお昼に間に合い、扇沢駅バスターミナル2階のレストランで天ぷら蕎麦を頂く。

これにて今シーズンの針ノ木大雪渓の山スキーは終了したが、まだまだ登山経験不足だなと改めて実感した。
そういう意味では私もまだまだ初心者だ。
山は本当に難しい。

さて、次は再び乗鞍に戻る事にする。
いよいよ終盤、今年も乗鞍岳で締め括ろうと思う。

針ノ木大雪渓。また来年来ます。(^^)