2010年01月17日 乗鞍岳 肩の小屋(Mt.NORIKURADAKE Kata (i.e. Shoulder) Hut. 2,770m)


行動記録(スキー登山)

登山コース
8:40 乗鞍高原温泉スキー場 すずらん橋駐車場発
-> 9:12 国設第1クワッドリフト乗車 
-> 9:22 国設第3ペアリフト乗車
-> 9:39 かもしかゲレンデ最上部 ツアーコース入り口出発(シール登行開始) 
-> 10:56 位ヶ原 ツアーコース案内標識(森林限界地点)
-> 11:22 大雪渓(肩の小屋バス停)
-> 11:49 肩の小屋着

下山コース
12:11 肩の小屋発
-> 12:20 大雪渓(肩の小屋バス停)
-> 12:25 位ヶ原 ツアーコース案内標識(森林限界地点)
-> 12:37 乗鞍高原温泉スキー場 かもしかゲレンデ最上部 ツアーコース入り口 
-> 12:43 三本滝レストラン着(昼飯) 
-> 13:40 乗鞍高原温泉スキー場 すずらん橋駐車場着

行動時間(休憩を含む)
5時間00分

山スキー装備
ビンディング:NAXO NX21 FREERIDE
スキー板 : LINE 0809 Prophet90 165cm
兼用ブーツ:GARMONT 08 ADRENALIN
ストック:BLACKDIAMOND フリックロックエクスペディションポール
スパッツ:Mont-Bell スキーチューブゲーター
ZEROPOINT スキーザック(青色30L)
ヘルメット:GIRO フリーライド用ヘルメット
などなど・・・

総往復移動距離
14.8km

日帰温泉
波田町 竜島温泉 「せせらぎの湯」 大人1人 500円

マップトレース



コメント

7時10分に目が覚めた。
ぐっすり寝られた。
布団を片付けていると女将が朝食の準備が出来たと知らせてくれた。
いつもは室内放送で知らせてくれていたが、昨日今日はわざわざ部屋まで知らせに来てくれた。
泊り客は私を含めて5名。今月一杯で閉館となり、宿泊客専用リフト券割引が発行されなくなった事からスキー客で宿泊に来る人は居なかった。
あずみ館は文部科学省共済組合が運営している宿だから、スキー客が来ない今となっては学校関係の教職員が殆どで一般の人は「観光」目的で訪れるだけである。
間もなくお別れの時がやって来た。
朝食を済ませ、主人と女将に「ご馳走様でしたー」と伝え、チェックアウトの準備をする。
ザックを車に詰め込んだ後、恐らく私が最後の利用者であろう乾燥室へ行き、マテリアル一式を回収する。しっかりと乾いていた。
私一人のためにわざわざ乾燥室の石油ストーブを入れてくれた主人に感謝したい。
そしてチェックアウトの時間。
ご主人と女将に今までお世話になったお礼を伝えた。
思えば3年ほど前からウィンターシーズンになれば3週間に一度は必ずスキー旅行で宿泊していた。
そんな自分も今シーズンからは「山」に行くようになり、ゲレンデから離れつつある。
登山姿の私を見て主人も驚いていたが、昨日今日の予定を伝えると「そうか・・・ついに上まで行くようになったんですね。無理しないで行って来てください。」と笑顔で答えてくれた。
お二人にこれまでのお礼を伝え、宿を後にした。
どうか末永く健康でいて欲しいと思う。

鈴蘭駐車場につくと到着が遅かったためか、すでに半分埋まっていた。
今日の剣が峰は快晴の様に見えたが・・・やはり位ヶ原付近が物凄く雲の流れが速い。
昨日よりはおさまっては居るが・・・剣が峰山頂付近から噴煙の様な雪煙が舞い上がるのが見えた。

この時期、山頂に立てた方は本当に運が良いと思う。
詳細な行動については位ヶ原で決める事にし、チケットセンターで1回券2枚(400円×2枚)を買い求め、国設第1クワッドリフト乗り場に向う。
乗鞍ロマンスリフトから登りたい所だけど、2年程前に登山客がリフトを利用しようとした際、断れているのを見たことがあった。
休暇村のリフトと第1クワッドリフトはOKなのにロマンスリフトはダメなんだろう?一度窓口で聞いた方が良いな。
鈴蘭駐車場チケットセンターから第一クワッドリフトまでは200mほど、その間は大した高低差もないのでテクテクと歩く。ウォーミングアップにちょうど良い。
休暇村まで車動かすのも面倒というのもあるどけど。(^^;
ツアーコース入り口に立つとすでに10数名近くの方が出発した後だった。
昨日のトレースもしっかり残っている。この条件だと位ヶ原に登るまで1時間ちょいで行ける。
急ぎ準備を済ませると、位ヶ原に向けてシール登行を開始する。

この入り口からも位ヶ原から雪煙が上がっているのが見える。
昨日のシュプール跡は殆ど消えていた、風で飛ばされたパウダーがその上から降り積もったのだ。
ツアーコースだけを滑るなら気分は上々だろうが・・・顔は笑っていなかった。
直ぐ先にガンキャノン装備の登山客が2名居た。
スノーシューで登っていた。
3番標識付近で追いつく、大学生だろうか?
話を聞くと、とりあえずは位ヶ原まで登るそうな。
この時期にガンキャノン装備は珍しいなと思ったけど、思えば昨年まで自分もそうだったのだから。人の事は言えませんな。
「頑張って行きましょう!」と応援メッセージを送り、先行した。
6番標識に近づくと位ヶ原の状況が段々と分かってきた。

舞い上がってきたのは雪ではなく雲だった。
昨日よりはマシかもしれない。先を急いだ。


位ヶ原急斜面に到着。
昨日のトレースが無くなり、新しいトレースが出来ていた。
昨日の雪は重たい新雪だったのと、その後の低温現象で雪質は少し固め。
ほぼ直登コースになっていた。こういう雪なのでシールのままストレートに登る事が出来た。


そして位ヶ原へ。
風は強かったが、昨日よりマシだった。風速は最大でも10m程だろうか。
だけど視界が悪い。
昨日のトレースがまるで鉄道レールのようにシュカプラとなって残っていた。
不安を感じつつ一路大雪渓に向った。
雲が恐ろしい勢いで流れていく。霊神さまの所までは視界は150mから200mほど。
霊神様付近まで来た時だった。前方に先行者を確認した。

写真中央に一人歩いていた。
魔利支天に向っている様だった。
(この後、進路を変更して非難小屋に向って来た)


霊神様まで来た。大雪渓まではもう300mほど。
風は強いが歩行には問題レベル・・・しかし視界が悪い。
雲が次々と流れ込んでくる。いつの間にか乗鞍岳や魔利支天も見えなくなっていた。
魔利支天にはもう2名程取り付いていた。しかしこの天候からそんなに先へは進めそうにも無いと感じた。


大雪渓まで100m程まで来た時だろうか、ふと左手に見覚えある標識が転がっていた。近くに寄ってみるとそれは「前川国有林」の隣にあった国有林エリア見取り看板だった。
なんと看板がここまで吹き飛ばされていたのだ。しかも根元からポッキリ折れている。(TT)
幹の太さも10cmは越えている。それがへし折れてここまで吹っ飛ばされてきたのか・・・???。
折れ具合から見てつい最近の出来事だと思えた。
昨日の地吹雪からしてどれ程の強風であったか考えるまでも無かった。こんなでかい看板が100mも吹っ飛ばされてくるんだからさ。
乗鞍は凄いよ。恐い恐い。


大雪渓に到着。
風も強いが歩行出来ないレベルではなかった。


しかし、視界は悪いまま。
すでに乗鞍岳は姿を消してしまった。
少し無理しても肩の小屋まで行こうと決めた。


慰霊の碑を過ぎた辺り。
視界は50mほど。この辺りから肩の小屋が見えてくるはずだが見えない。
雪質は少し固め。シュカプラが酷くなってきた。


乗鞍岳も完全に姿を消した。


もう少しで肩の小屋だ。


朝日岳の斜面が見えてきた。
だが昨年12月29日にみた光景とは異なっていた。
そう雪が殆ど吹き飛ばされていたのだ。


幽霊船の様に見え隠れした肩の小屋に到着。
殆どの雪は浮き飛ばされ、硬いシュカプラが形成されていた。


12月29日乗鞍宇宙線観測所から滑走した時はここは雪に覆われていたが、すでに地肌むき出しの状態。
滑走は出来る状況ではない。こんなに変わってしまうとは・・・。
肩の小屋東側にマテリアルをデポし、剣が峰登山道入り口まで歩いてみた。
風は依然強いまま。もし視界が良かったら登る事が出来ただろう。足元すら見えない状態でこれ以上先へ進むことは出来ない。


肩の小屋口にある剣が峰登山道入り口。
以前来た時はここは雪の下だった。


肩の小屋(南側)を撮影。
雪に埋もれては居ないが、それよりもまるでゴーストタウンだった。不気味だった。
聞こえるのは荒れ狂う風のうめき声だけ。まるで地獄だ。
夏。ここには多くの登山客が訪れる。その時の様子が目に浮かぶ。
これ以上の長居は無用だった。
スキーデポ地点に引き返し、シールを剥がすが強風で中々収納できない。
しかも板とブーツをはめ込みたくても強風でバランスが取り難い。
なんとか板とのドッキングを完了させ、大雪渓を見下ろすが視界はすでに100mを切っていた。


足元には巨大なシュカプラが点在している。登ってくる時に確認したイメージトレース通りに進路を向けた。ポイントとなる物は岩だった。
シュカプラを乗り越え、進路を魔利支天側に向け、非難小屋へ直接向うルートを取る。
シュカプラをさける意味で、カプラの上にたまったパウダーをなぞる形で非難小屋を目指した。


魔利支天南側急斜面に入る。ここを真っ直ぐ東に向えば非難小屋だ。


中央右奥に非難小屋が見える。
しかし足元が殆ど見えない。
シュカプラが無数に点在している。
姿勢を低くし、衝撃を逃がしながら慎重にターンする。


無事、非難小屋に到着。
ここまで来ると位ヶ原方面の視界も晴れてきたが200m程だ。
この直ぐ先に魔利支天から下ってきた単独スキーヤー1名が居た、こちらが降りてきたのを確認したのか?私の姿を見ると再びツアーコースに向って行った。


シュプールを見ようと振り返ったが、もう雲の中だった。
雪も少し舞って来た。
下山を急いだ。


大雪渓を離れるにつれ視界も戻ってきた。
ここでルートを再確認する。
霊神様を見つけ出す。
この霊神さまの沢沿いに向かい、右に沿っていくとツアーコース入り口に戻れる。
左に向うと位ヶ原山荘に行く。

霊神さまに今日の山行を感謝した。


大雪渓方面を振り返った写真
ツアーコースに向かい舞い降りる。
ゲレンデの様なバーンなので快適なターンを切る事が出来る。
位ヶ原急斜面に来た時は天気はすっかり晴れていた。
後はツアーコース通りに戻るだけだ。雪質も快適な軽いパウダー。快適に飛ばす。


そして入り口に到着。
かもしかゲレンデを下り、三本滝レストランで昼食のカレーライスとフライドポテトを頂いた後、鈴蘭駐車場まで滑り降りる。


鈴蘭駐車場から乗鞍岳を見上げた。
すでに雲の中だった。ゲレンデはこんなに快晴なのにねぇ・・・。(−−;
次に乗鞍に来れるのは・・・仕事の状況からして来月だなぁ。
名残惜しいけど。またここに来る事を誓って帰路についた。
C’Ya!