2010年01月16日 乗鞍岳 肩の小屋バス停(Mt.NORIKURADAKE Bus stop of Kata (i.e. Shoulder) Hut. 2,660m)


行動記録(スキー登山)

登山コース
8:35 乗鞍高原温泉スキー場 すずらん橋駐車場発
-> 8:56 国設第1クワッドリフト乗車 
-> 9:07 国設第3ペアリフト乗車
-> 9:24 かもしかゲレンデ最上部 ツアーコース入り口出発(シール登行開始) 
-> 10:53 位ヶ原 ツアーコース案内標識(森林限界地点)
-> 11:48 大雪渓(肩の小屋バス停)


下山コース
12:05 大雪渓(肩の小屋バス停)
-> 12:14 位ヶ原 ツアーコース案内標識(森林限界地点)
-> 12:30 乗鞍高原温泉スキー場 かもしかゲレンデ最上部 ツアーコース入り口 
-> 12:37 三本滝レストラン着(昼飯) 
-> 14:08 乗鞍高原温泉スキー場 すずらん橋駐車場着

行動時間(休憩を含む)
5時間23分

山スキー装備
ビンディング:NAXO NX21 FREERIDE
スキー板 : LINE 0809 Prophet90 165cm
兼用ブーツ:GARMONT 08 ADRENALIN
ストック:BLACKDIAMOND フリックロックエクスペディションポール
スパッツ:Mont-Bell スキーチューブゲーター
ZEROPOINT スキーザック(青色30L)
ヘルメット:GIRO フリーライド用ヘルメット
などなど・・・

総往復移動距離
13.8km

宿泊施設
乗鞍高原 四季の宿 あずみ館
(当宿泊施設は2010年1月31日をもって閉館となります)

マップトレース



コメント

ウィンターシーズンになると月1回は乗鞍高原温泉スキー場へ一泊二日のスキー旅行に来た。
朝一番のグルーミングバーンが好き好きでたまらなかった。
来客も少ないのでリフト待ちも無く、広々としたゲレンデを存分に楽しめた。人ごみに溢れた白馬や志賀高原はゴメンだった。
宿泊先はいつも観光センター傍にある四季の宿「あずみ館」だった。この宿は父親が自衛隊に居た時からお世話になった宿であり、親父にして見れば色々と顔なじみの宿だった。
その「あずみ館」が2010年1月31日をもって閉館すると聞いたのは昨年のお盆頃だった。なんとか確実に休日が取れる週末を選びたかったが・・・技術職というのはなかなか自由が利かない。土曜日が確実に休みと分かるのは金曜日の夕方になる・・・。
予約は1週間以上前に入れたいのだが・・・スケジュール調整が難しくなかなか踏み切れなかった。
今回、中国からの部材供給の遅れが確実になったのを機に一泊二日の宿泊予約を急遽入れた。
もともと「あずみ館」は文部科学省共済組合が運営する旅館で、利用客の多くが学校関係者や研究機関の方々が多い。
自分はただの会社員なので一般扱いだが、1泊2日夕飯朝飯付9000円程度なので下手なビジネスホテルに泊まるよりお得だ。
食事も魚料理が主でヘルシーだ。(^^)
ただメニューは固定なので連泊すると毎晩岩魚のから揚げを頂くことになる。(^^;
美味しいけど、さすがに毎日連続では飽きてくるのが難点だった。
16日(土)と17日(日)は大学センター試験の関係で宿泊に来る人も殆どいない。ましてや、今年限りで閉館となるためリフト券割引を発行してもらえない。
自分は登山目的で来るのでリフト券は必要ないが、玄関入り口に遠地から送られてきたボードやスキー板が並べられていた光景が見れないのは・・・寂しい限りだ。

自宅を朝5時30分に出発し、すずらん駐車場に朝8時に到着する。

Weather newsでは9時頃から快晴に向うとの予報だ。どうなるかまだ分からないが準備を済ませチケットセンターに行き、1回券を2枚(400円×2)購入する。
午後から晴れるとの予報を信じ、ツアーコースに向う為、国設第一クワッドリフトに向う。


国設第3ペアリフトを降りてツアーコース入り口に立つ。
休暇村から来ると多少早く到着するため、すでに一番乗りできた人は5,6人居た。
乗鞍大雪渓管理人事、山田氏も取材に来ていた。
集まった皆に挨拶をし、準備をする。
昨夜の降雪でツアーコース入り口の積雪量は20cmはあった。
上部はもっとあるだろう。
先に2名(ご夫婦かな?)がツアーコースに向けて出発する。追って自分も続いた。
しかし、先行していた内の一人が最初の急斜面でビンディングからブーツが外れてしまうトラブルに見舞われたようだ。
代わりに自分が先行して道を切り開く。
ラッセルはそんなに酷くはなかったが少し重たい雪と急斜面に難儀した。
最初の急斜面を登り切ったところで少し休憩。(^^;
その間にペアを行かせる。

給水中に後ろから一人の女性が登って来た。
「トレースありがとうございましたー。(^^)」
珍しく人に感謝された。(^^;
女性:「新雪をラッセルするの大変だけど楽しいでしょ?^^」
私 :「う〜ん・・・まぁ新雪なので先ほどの急斜面でも滑らないので楽に登れますからねぇ〜(^^;」
答になっていない会話をした後、先に進ませてもらった。

3番コース付近で先頭のペア追いつき、再び自分が先行する。
沈み込みは深くても20cmほど、ペースは遅いがゆっくりシコシコ登る。
その間にも後ろから別の2名が登って来た。
「ラッセルご苦労さまです」と声を掛けてもらった。(助かりますー
お。あれがK2ヘルベントかー。
直ぐ後ろをついて行った。
130mmのファットスキー板は欲しいなぁ〜と思ってはいるんだけど、ヘルベントのラッセルを見ても自分の90mmとあまり変わらないかなぁ・・・と。(^^;
登行よりも滑りの違いが大きいのかな・・・。
130mmクラスになると浮力がありすぎて、沈み込みを利用したスピードコントロールは出来ないだろう。
私には90,100mmクラスで十分なのかも。

間もなく6番標識。

ここから見える乗鞍岳も素敵だが・・・雪煙が酷く良く見通せない。
嫌な予感がした。

位ヶ原急斜面に入ったところでヘルベント親父は小休憩。(^^;
その直ぐ後ろを登行していた方と入れ違ったが、急斜面途中で私と入れ替わり。
ピーク手前で、ラッセル後退。(^^;
登りつめた所でいきなりの強風に見舞われる。
「あー風が強いなぁ・・・」と最後にラッセルした方がぼやいた・・・。
確かに今までの風よりは強かった。
そしてその不安は現実となる。
霊神様経由で大雪渓を目指すが、その強風に足が思うように進まない。

写真を見て分かると思うが、山頂付近から噴煙の様な雪煙が上がっている。
これはすべて風。強力な地吹雪。
ここまで吹き荒れているのは私は始めてだ。風速は15mは越えていただろう。


霊神様までのルートはなだらかで風さえなければスムーズに登れる。


摩利支天を見た時だった。目の前から突然白い壁が向ってきた。
それがまるで空気砲のような強烈なウェーブだと気が付いたとき、直撃を受けてしまう。
ビューという音では無く、ドーンという轟音と共に。体勢を大きく崩し、後ろに戻される。
気温も氷点下16℃。この場で止まると二度と動けなくなる恐怖が沸き起こる。
洒落にならなかった。恐怖と共に思わず苦笑いがこぼれる。


それでも霊神様を通過し、大雪渓に進路を取る。
しかし、前に進むにつれて強烈な地吹雪で思うように前に進めない。それどころか手先の感覚が薄れてきた。


それでも大雪渓付近までやってきた。
こんな地吹雪は生まれて初めて経験した。
目の前の乗鞍岳がまるで白い噴煙を上げた火山の様だった・・・。
この風が無ければ、乗鞍岳4コース(剣が峰Dルンゼ、剣が峰と蚕玉岳中間コル、蚕玉岳と朝日岳中間コル、朝日岳から肩の小屋経由)は全て滑走可能だ。


非難小屋とトイレ。
トイレ付近から粉吹雪が舞い上り視界を遮っている。


よろめきながらも、風を少しでも避けるため、前川国有林の元に駆け込む。
この先に進もうか悩む・・・。
アイゼンガンキャノン装備で肩の小屋を目指そうとも考えたが、この強風でまともに歩くのは困難だった。
風の吹き方が独特で、1分に1回位で粉雪を伴い、横に渦を巻いた状態で強力なウェーブがやってくる。

その瞬間を撮影した。横長の壁みたいなのが分かるだろうか?
これが酷くで酷くて、一発「どーん」と喰らうと思いっきりバランスを崩す。というか立って歩けない。
「妖怪ぬりかべ」っているんだなぁと思わず苦笑いしてしまう程。
10分悩んだ挙句、今日はここまでとして明日にかける事にした・・・。
もし、稜線にでても・・・

あの上を歩ける自信は私にはありません・・・。(TT)

急ぎシールを剥がし、下山を開始した。
滑り始めて間もなく霊神様の抜けた辺りで、ガンキャノン装備1名とシール登行者1名が登って来た。
恐らく私と同じ非難小屋までだろう。(翌日ここに来た時には進んだ痕跡はなかった)
位ヶ原森林限界地点まで残り500mの地点で、今朝方ツアーコース急斜面で出会った女性と男性の夫婦(?)が登って来たのを確認した。
女性の方がこちらを見てストックを上げて振っている。(^^;
こちらもストックを上げて振りかえす。
女性:「凄く気持ちが良いでしょう?(^^)」
私:「ええ・・・ですが、大雪渓入り口まで行きましたが強風で先に進むのを断念しました・・・」
男性「やっぱりそうですか・・・いや私達もせめてアスファルトの所(肩の小屋バス停)まで行こうと思っているんですよ。」
全然知らない方々だけど、まるで友人の様に話をした。(^^;
こちらの知っている情報を伝え、無事を願った後、再び森林限界点ツアーコース入り口を目指す。
こおまで降りてくると風は殆ど気にならない。
上部とのギャップがありすぎる。
重たい新雪のため、なかなか思うように加速しない。
後傾加重でだらだらだら〜〜〜と位ヶ原急斜面を下ると大雪渓管理人さんと会う。
相変わらず、1分置きに撮影していた。(^^;
この時期にニコンのでかい一眼レフカメラで撮影しまくっているのはこの管理人さん以外に見たことがない。
毎週土曜日にはツアーコースに来ているので、必ず会えます。
管理人さんと話をした後、三本滝を目指してひたすら下る。
残念ながら重たい新雪のため加速が思うように進まず、だらだらだら〜〜とゆっくり下る。
2号標識付近で非難小屋付近で見かけた方に追いつく。
元々はデモ系の方かなぁ。滑り方を見て新雪でもやたら細かくターンを切るので・・・
かの方と前後入れ替わりを繰り返しながら、かもしかゲレンデに到着した。

剣が峰から噴煙が上がっている。(^^;
天気は最高なのにねぇ・・・
ゲレンデを下り、三本滝レストランを昼食を頂く。
珈琲の飲みながら、地図を眺め、しばらく時間を潰した後、すずらん駐車場まで滑る。

駐車場から乗鞍岳を見上げるが、物凄い勢いで雪が飛ばされているのが分かる。(^^;
ま。明日に期待しよう。

さて、チェックイン15時までもう少し時間があるので、車中で仮眠を取る。
15時30分ごろ、本日のお宿。そしてこれが最後の宿泊になるあずみ館に向った。
観光センター前のおみやげ屋さんで、GPSロガー用の単3乾電池とおやつの「たけのこの山」とモーニングショット珈琲を購入。
宿屋に向かい、チェックインする。
窓口にはいつもの女将が出てくれた。
私と親父の事は良く覚えてくれていた。
部屋鍵を貰い、乾燥室の使用許可を貰い荷物を運び込む。
乾燥室のドアを開けたが、スキー客は誰も宿泊しないのでストーブの周りにあるパイプ椅子以外に何も無かった。
昨年は3回宿泊したが、いつも来るたびにスキー板やらボードが並べられていた。
寂しく思えてならなかった。
ブーツを乾燥室に入れようと再び中に入ると主が来てストーブに火を入れてくれた。
客は一人でも入れてくれるんだ。
主が私のマテリアル(Prophet90)を驚いた顔で眺めていた。
今日はスキー登山で来ましたと言うと、「そうか、上まで行ったんだね。無理しないようにね。」と返事してくれた。
荷物を部屋に入れた後、早速白濁の湯につかる。
いや〜疲れも取れて気持ちが良かった。(^^)
夕食は何時もの岩魚のから揚げと白身魚のホイル焼きだった。
何年たってもここの夕飯と朝飯は変化が無い。(^^;
だけど十分美味しかった。
厨房に顔を出して「ご馳走様ー」と伝えて部屋に戻る。
デジカメからSDカードを引き出し、持参したノートPCで今日の山行の写真を確認していると眠たくなってきた。(−−zzZZZ
この宿では無線LANが使えるので、無線LAN搭載のノートPCならそのままインターネットにつながる。
就寝前に明日の天気をWeatherNewsで確認してから早々就寝した。

翌日1月17日に続く・・・。